【異次元の恐怖】貴志祐介さんの「クリムゾンの迷宮」が驚異的な面白さだった

小説
貴志祐介「クリムゾンの迷宮」のカバー画像より引用

目を覚ますと、そこは火星のような岩石地帯だった。傍らにはゲーム機。そして主人公は、生き残りをかけたサバイバルゲームに放り込まれてしまう。。

あらすじや冒頭を読んだときは「なるほどなるほど。生き残りをかけたゲームに参加させられて、なんやかんやで騙し合い・殺し合いになって、最後の最後で信頼していた人に裏切られつつもなんとか生き残るやつか。B級映画で見たことあるな。そこそこ面白いんだろうな」などと思っていました。

結論、大枠はこんな感じでした。が、この作品の面白さは、「そこそこ面白い」程度では済みませんでした。私はこの小説を「寝る前にちょっと」くらいの気持ちで読み始め、結果早朝までかけて一気読みしてしまいました。

以下、ネタバレには触れないようにしつつ、面白いポイントを書いていきます。

異次元の恐怖

当然、騙し合いや殺し合いになるのですが、主人公らに襲いかかる恐怖がとにかく凄まじいものでした。

序盤では、協力を装いつつも牽制し合い、得たものを小出しにしたり、得た情報の伝達量をセーブしたりと、まあそうだろうなという心理戦が起こります。

しかし、主人公らが別のチームの”とある異変”に気づき、物語は一気に殺し合いの様相を呈します。

この”とある異変”といのがとにかく怖かった。本当に読んで欲しいです。

そしてこの恐怖との距離感も絶妙で、通信機器を利用して断片的に相手チームの情報を得るシーンなど(特に怖かった)、手に汗握る展開が次々と連なります。

私はこの”とある異変”を目の当たりにした時点で睡眠時間の確保を諦めました。

味わい深い主人公のキャラクター

貴志祐介さんの他の作品もそうですが、キャラクターが非常に良い味を出しているなと感じます。

本作では主人公がゲームに参加する前の生活を振り返る描写が複数ありますが、どこか応援したくなるようなところが多く、「魅力的」というより「味わい深い」という表現がしっくりくるような、そしてどことなく共感できるような、現実感のある素敵な人間ドラマを垣間見ることができます。

ラストの余韻が秀逸すぎる

この作品の設定であれば当然最後には現実世界(ゲームの舞台も現実世界ですが)に戻ります。本作もそうなります。

しかしながら、この作品における「現実世界への戻り方」は少し不思議というか、ただ単に「現実世界に戻って、ときどきあのゲームのことを思い出しながら普通の生活をしています」程度ではとどまらない、これまた味わい深さがあります。

ここについてはとにかく読んで欲しいとしか言いようがない。

おわりに

興奮のままに書き連ねましたが、是非とも手に取って頂きたい、そして感動や興奮を共有したいと強く思っております。

他の作品についても記事をupしているので、よかったら読んでいって下さい。

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