【怪物の足跡】ドゥラメンテ 全レースを辿る

キタサンブラックの同期で2冠馬ドゥラメンテ。

怪我に泣きながらも懸命に走り抜き、人々に感動と衝撃を与えた彼のレースを新馬戦から1つずつ振り返ります。

全レース振り返り

新馬戦(2014/10/12)

  • 人気:1番人気(1.4倍)
  • 着順:2着
  • コース:東京芝1800m
  • 騎手:F.ベリー

 出遅れて後方になり、大外をまくって差し切りを狙うもとどかず2着。ここまでは割とよく見る「負けて強し」なレースだなという印象。
 勝ち馬のラブユアマンが普通に強く見えた。

2歳未勝利(2014/11/08)

  • 人気:1番人気(1.2倍)
  • 着順:1着
  • コース:東京芝1800m
  • 騎手:R.ムーア

 立ち上がり気味にスタートを切り、やや掛かってしまった結果先行する形に。
 その位置取りのまま直線を向き、鞍上が追い出してからはもはや次元が違う脚色で2着以下を突き放し6馬身差の圧勝。
 化け物のオーラをまき散らした勝ち方だった。

1勝クラス セントポーリア賞(2015/02/01)

  • 人気:1番人気(1.7倍)
  • 着順:1着
  • コース:東京芝1800m
  • 騎手:石橋脩

 未勝利の勝ち方で注目され、この日も圧倒的1番人気。

 スタートでうっすら出遅れるも促して中段にポジションを取った。馬群は縦長。
 そのまま4コーナーを迎えたが、ドゥラメンテの様子がちょっとおかしい。暴れ加減で思いっきり横向いてる。直線向いてからもはっきりよそ見していてまともに走れていなさそう。
 なのにも関わらず謎に先頭に立っている。

 そして残り300mあたり、ようやく前を向いた彼は前走同様異次元の脚を見せ、終わってみれば5馬身差の圧勝。格の違いを見せつけ、クラシック戦線に名乗りをあげた。

G3 共同通信杯(2015/02/15)

  • 人気:1番人気(1.8倍)
  • 着順:2着
  • コース:東京芝1800m
  • 騎手:石橋脩

 中1週で世代戦の重賞に初挑戦。ローテこそ気になるものの、前走のか勝ち方が圧巻で単勝は1倍台。

 好スタートから3,4番手につけるも、暴れ散らかしてしまいずるずる位置を下げ中段でなんとか折り合いをつける。
 直線の入り口、ドゥラメンテが綺麗に外に持ち出してそのまま加速。前を捉えて一時先頭に立ち、ここから抜かれることはないかなと思いきや、内を力強く抜けてきたリアルスティールに交わされ2着に敗戦。

 厳しいローテのせいか、周りのレベルが上がったからか、前走ほどの爆発力を発揮することが出来ない結果に終わった。

G1 皐月賞(2015/04/19)

  • 人気:3番人気(4.6倍)
  • 着順:1着
  • コース:中山芝2000m
  • 騎手:M.デムーロ

 共同通信杯の敗戦により、皐月賞当日はかなり落ち着いた人気になった。

 ゲートが開いて、まずまずのスタートから後方の内で折り合ったドゥラメンテとM.デムーロ。
 特にコメントのしようがない隊列で1000m通過は59秒台とそこそこ流れた。3コーナーから4コーナーへ、有力各馬の鞍上が追い出しを始め、ドゥラメンテも後ろから動き始めるが位置が悪い。後方の内で詰まりそう。

 そのまま4コーナーから直線へ。ここで事件が起こる。
 ドゥラメンテが逸走してしまい馬5頭分くらいの斜行、結果的に進路は取れて、なんとか体勢を納め鞭を入れて再度懸命に追い出す。
 このとき前の方では完璧な競馬をしていたリアルスティールがわずかに先頭に立っていた。
 キタサンブラックを徐々に突き放し独走態勢に入りかけるリアルスティール、しかしここからただ一頭、ドゥラメンテだけが異次元の脚で前をあっさり捉え、そのまま突き抜けて完勝。

「外からなんと!ドゥラメンテ!!」

 未勝利や1勝クラスで見せた衝撃の再現となった。上がりは33.9、上がり2位のタイムは34.5であることを考えても、これは一頭恪が違うと言える。

G1 東京優駿(2015/05/31)

  • 人気:1番人気(1.9倍)
  • 着順:1着
  • コース:東京芝2400m
  • 騎手:M.デムーロ

 二冠の期待を背負い当日は1番人気に支持されたドゥラメンテ。14番とやや外目から、日本ダービーのゲートが開いた。

 今日はミドルポジションを取ってレースを運ぶ。もはやこの時点で安心感があるが、気性難の馬は何があるか分からない。
 ペースは1000m通過が58秒だとハイペース。リアルスティ-ルが後方からという珍しい展開の中、ドゥラメンテは何事も無く長い直線を迎える。

 先行勢が垂れていくなか、中段から鋭く差し込んで前を捉えると、そのまま後ろに迫られることもなくあっさり先頭でゴール。皐月賞のような衝撃は無かったが、「ただ1番強い馬が勝っただけ」という王者のレースだった。

 これにてドゥラメンテは二冠達成。距離さえ持てば三冠はこの馬だろうという期待を残し、夏のクラシック戦線は幕を閉じた。

G2 中山記念(2016/02/28)

  • 人気:1番人気(2.1倍)
  • 着順:1着
  • コース:中山芝1800m
  • 騎手:M.デムーロ

 放牧中に骨折が判明し、ドゥラメンテは長期休養していた。菊花賞への出走はかなわず、今もなお「もし出ていたら三冠取れたか?」という議論を目にすることがる。

 復帰戦の舞台は冬の中山。リアルスティールも出走しており、長期休養明けにしてはかなり厳しい相手関係と言える。

 しかし終わってみればこのレースはドゥラメンテの完勝。中段に構えて4コーナーでまくり絶好のポジションで直線へ、その後もよく伸びて、差してくる馬をクビ差で凌ぎ先頭でゴール。着差以上に危なげない勝ち方に見えた。

 爆発力には欠けるものの、ドゥラメンテの復活を印象づける良いレースだったことは間違いない。

G1 ドバイシーマクラシック(2016/03/26)

  • 人気:3番人気
  • 着順:2着
  • コース:メイダン芝2400m
  • 騎手:M.デムーロ

 長期休養を空けて一戦たたき、狙うはドバイSC。1番人気は同年のキングジョージの覇者ポストポンド、父Dubawiってよく聞くなぁと思って調べたらレベルスロマンスのお父さんだった。

 この日はやや出負けして後方3番手、そのままレースを運び残り900m辺りで若干位置を押し上げ中段につける。その後4コーナーから徐々に追い出しよさげな位置で直線を迎える。

 この日も良い脚でよく伸びていた。しかし前を走るポストポンドには迫れず結果は2着。G1で2着は間違いなくナイスランだが、中山記念と同様ラスト1ハロンで後ろの馬に差を詰められている点が気になる。

 皐月賞のようにゴールを突き抜ける爆発力がまた見たい。

 後日談だが、このレースの発送直前に落鉄していたらしく、ドゥラメンテは裸足で走っていたらしい。

G1 宝塚記念(2016/06/26)

  • 人気:1番人気(1.9倍)
  • 着順:2着
  • コース:阪神芝2200m
  • 騎手:M.デムーロ

 海外帰り初戦は伝統の古馬王道宝塚記念。このレースでキタサンブラックと相まみえることになるが、オッズ的には断然の一番人気に支持された。

 この日もいつも通りやや出負けして、後方4番手でレースを進める形に。ハナを切ったのはキタサンブラックだ。
 稍重の馬場で1000m59秒とややハイペース気味で流れ、最終コーナーへ。ドゥラメンテはまくっていくも、馬群に包まれる形で直線を迎えてしまう。その頃キタサンブラックは先頭、そしてマリアライトも既に好位の外目を走っていた。

 直線に入った直後、なんかふわっとした感じで道が空いた。鞍上は懸命に追い出す。しかし、苦手な馬場も影響してか、目を見張るほどのキレがない。それでもよく伸び、最後はキタサンブラックを捕らえて2着でフィニッシュ。

 勝ったのは渋った馬場が得意なマリアライト。騎乗も素晴らしかったように思える。

 決して得意ではない馬場で、進路取りに手間取るなか勝ち負けまで走ったドゥラメンテ。
 彼はこのレースにより複数の靭帯・腱の損傷を起こしてしまい、ターフを去ることになる。

おしまい

 ターフに伝説と衝撃を残したドゥラメンテ。最終的に完全復活とはいかなかったものの、G1含む9戦で全連帯は十分すぎるくらい優秀だった。

 「これほどまでに強いのか!」と衝撃を与えた走りは時を超えて産駒に引き継がれるが、それままた別の話。

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